メディカル・カレッジ青照館 2009 オープンキャンパス 感動エピソード4
Episode 04:
患者様と一歩、一歩。そして辿り着いたゴール。

前職の病院に一人のご老人が入院されました。その方は脳の病気を患っておられ、両方の体には軽い麻痺。また顔や舌や喉にも、体以上の強い麻痺がありました。話しをしても「あああああ」となかなか相手に自分の意図が伝わらない、大好きだった食事はうまく飲み込めないために、胃とお腹に穴をあけて直接胃から栄養をとっておられました。
食物を口から食べたいが、前の病院ではこれから先、「口から食べることはできない」と告知されていた。そのため、食事のできない生活に満足できず、怒りと悲しみの気持ちで一杯だったと思います。
リハビリを始めて2ヵ月、本人の意欲も重なり少しずつ機能が改善してきました。ゼリー、ゼリー食、少し形のある食べ物と、口から食べることができるようになってきました。
好きだった食事ができるようになった姿を見て、私自身何か自分のことのように思えてとても嬉しい気持ちなったことと、作業療法士という仕事をしてきて本当に良かったと思ったことを今でもはっきり覚えています。
それから2週間後、全身的に安定してきたのでご老人の転院先が決まりました。
転院する1日前のことでした。夕方6時頃いつも通りデスクで仕事をしていると、言語訓練室のドアが「トントン」と音がしました。
ドアを開けてみると、そのご老人でした。いつもは介護のスタッフの監視つきで歩行をされているのに、そのときは一人。そして近寄ると、話しことばは、はっきりと分からなかったが言いたいことは伝わった。「ありがとう」。私にそのことばを伝えるために、病棟を抜け出してきてくれたのだ。そして何度もそのことばを言われたときは、強く心に感じました。そのご老人に一生懸命になってリハビリを行ったこと、そして言語聴覚士という仕事を選んでよかったと…。
