メディカル・カレッジ青照館 2009 オープンキャンパス 感動エピソード1

Episode 01:
「ありがとう」その一言に報われた瞬間。

例年以上に寒かった冬が終わりを告げた季節、ある病院に一人の老人がいた。
彼は心臓を悪くしており、治療のために大手術を行った。その手術以降、彼の体力は弱り、寝たきりになってしまった。今年で70歳。この時まで彼は健康で、病気などしたこともなかった。それゆえ、弱っていく自分の体を見て、自らの終わりを感じていた。「もう自分の力で座ることもできないんだ」奥さんにそうつぶやいた時悔しさのあまり、初めて彼女の前で涙を流した。
私がリハビリを進めるも彼はなぜか拒否をする。「人の助けを得てまで座りたいとは思わない!」人の手を借りて当たり前の作業をすることを彼のプライドが許さなかったのだ。
「もう私は終わりなんだ…」しかしそこで私はあせらず、まず彼の話を聴いていくことにした。彼の人生のこと、仕事が成功したときのこと、そして、最も幸せを感じた時のこと。
「忙しい日々から開放される休日に、妻と家でゆっくりと、外の景色を眺めているときが最高に幸せだった…」

この時、私は気がついた。彼のベッドは、寝たままだと外の景色が見えなかったのだ。さらにその時外は、桜が満開だった。
私は突如、彼の肩に手を回し言った。「ここもいい景色ですよ! ほら!」そして彼を支えながら、なかば強引に座らせた。
窓の外で、これ見よがしに咲き誇る満開の桜の樹々、彼はじっと外を見つめていた。変化はすぐに表れた。その日から彼は自らの力で座る努力をしていった。
「よし、これでなんとかなるかも」そう私が思ったのも束の間、彼はさらなる治療のために転院することになってしまった。「リハビリを継続してくれるだろうか…」私は気になっていた。

3ヶ月ほどたったとき、私の前に彼が突然現れた。かつて寝たきりだった彼はなんと自らの手で車椅子を動かしていた。
彼は私の手を取ると涙を流し、力強く話した「あの時、私を座らせてくれて本当にありがとう。あなたのおかげで私は…また生きていこうと思えたのです」 私の心が報われた瞬間でした。

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